平成13年1月に社会保険労務士事務所を開業後、これまで8,000社以上にダイレクトメールを送付し、合わせて返信用ハガキでアンケートを実施してきました。500社を超える会社から回答をいただきました。
アンケートの回答内容を一部ご紹介しますと、労働者数10人未満の会社ではなんと90%の会社で就業規則がありませんでした。
就業規則は無いものの入社時に口頭で労働時間、休日、賃金の内容を伝えている、という会社が多かったですが、1週間の所定労働時間は48時間、年次有給休暇は入社後5年間は無し、残業手当は月30時間以上は支払わない、無断欠勤5日で解雇、育児休業休暇は年次有給休暇を完全に消化してから取得することといった驚きの回答もありました。
全国の会社数は個人事業を含めて約700万社。その内、労働者数10人未満の会社は約550万社。
全体の70%近い会社が就業規則(会社のルール)無しで労働者を雇用していると推測されます。都道府県労働局・労働基準監督署への相談・問い合わせが年間で100万件を超えている最大の要因がここにあると思います。
例えば、無断欠勤を4日行った労働者に対して、あなたの会社はどのように対応されていますか。(ルールはありますか?)社長(上司)の業務指示に従わない部下に対して、どのような対応をされていますか?処遇の公平さは明確に(文書にして)保たれていますか?
文書化せずに、具体的で明確な基準がないと、その都度、協議を行うこととなり、結局は無駄な時間を浪費してしまうことになります。
だからこそ、優秀で意欲ある労働者の確保・定着に、また、無用なトラブルから事業主・大切な労働者を守るためにも就業規則の作成は必要になってくるわけです!
就業規則の記載事項
就業規則の記載事項必ず記載すべき事項(絶対的必要記載事項)
労働時間関係 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交替で就業させる場合の就業時転換(「休暇」には育児休業休暇、介護休業休暇、産前産後休暇も含まれます)賃金関係 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期、昇給(臨時の賃金を除く)退職関係 退職の事由(解雇を含む)とその手続き等労使当事者間において、解雇についての事前の予測可能性を高めるため、就業規則に「解雇に関する事項」として「解雇の事由」を記載することが必要になります。
定めを設ける場合、就業規則に記載すべき事項(相対的必要記載事項)
退職手当関係 退職手当の適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、支払いの時期臨時の賃金及び最低賃金額食費、作業用品その他の負担安全衛生(生涯健康診断・安全衛生体制等)職業訓練災害補償(療養補償・休業補償・障害補償・遺族補償等)及び業務外の傷病扶助表彰及び制裁(懲戒・減給・出勤停止・懲戒解雇)の種類及び程度その他当該事業場の労働者の全てに適用される定めをする場合は、これに関する事項(出張旅費・マイカー通勤・情報管理等)でもこれだけの内容を網羅して法律の上に抵触しないように規定することは難しいという事業主の方も多いと思います。
これまで120社以上(印刷業・清掃業・建設業・警備業・小売・卸売業・飲食業・弁当の製造販売業、介護保険業、レンタル業、病院、ソフト開発業、製造業、美容室、リフォーム業、建設の積算業、看板の設計施工業、健康食品の販売業等)就業規則を作成した実績のある当事務所にご依頼いただければ、あなたの会社に合った就業規則を作成いたします。
さらに、最近では、各種の助成金を申請する場合、就業規則を添付することになっています。就業規則の整備により助成金もゲットしましょう。
就業規則を作成済みの会社に対しては、就業規則の診断も行っています。
トラブルを防ぐ就業規則の事例
「遅刻10分を3回しただけなのに、賃金1日分引かれた!」
遅刻した人の賃金をカットする場合、10分の遅刻を3回しただけなら、30分に相当する賃金しか控除できません。
もし、遅刻をしたことのペナルティとして「遅刻・早退3回で欠勤とみなす」と給与規定に書かれていても、それだけでは1日分の賃金をカットする根拠には出来ません。
しかし、遅刻・早退は規律を乱し、業務にも影響が大きいというときは、皆勤手当に規定すれば、かなりの額の控除ができます。
(皆勤手当)第○条
- 賃金締切期間において、遅刻・早退・欠勤などにより、就業しなかった時間がある場合、皆勤手当の全部、又は一部を支給しない。
- 遅刻、早退は、始業時刻に10分以上遅れた場合を1回とする。
- 上記の遅刻、早退が賃金締切期間において、3回になった場合、1欠勤とする。
- 皆勤手当は、以下の額を支払う。
皆勤手当/20,000円
遅刻、早退/2回まで半額支給
欠勤/全額支給しない
その他、多くの作成事例があります。
残業減らしのポイント
「大手ハンバーガーチェーンが不払賃金の支払い!」
「○○電力がサービス残業で●億円の支払い!」
「残業手当を支払わずにサービス残業をさせていたとして、幹部を書類送検!」
最近ではサービス残業が摘発されることは珍しくなくなりましたが、多額の不払賃金の支払いが経営への大きなダメージは甚大です。
単なる利益の減少にはとどまりません。
企業のイメージダウンにより企業にとって何よりも大切な「人財」の確保が困難になることが深刻です。
また、サービス残業をさせる会社では意欲を持って、喜んで働きたい、と思う労働者はいないと思います。
では、残業(サービス残業)をどのようにすれば減らすことができるのか。
当事務所の取引先で実際に取り組まれ、効果のあった方法をご紹介します。
ポイント
- 業務命令により残業を実施。あくまでも上司からの指示に基づくものとします。
- 休日出勤・残業を実施する際には「時間外勤務申請書」などにより事前に申告させるようにします。
- 上司が内容をチェックし、必要な場合のみ実施させます。申請を却下する場合には残業をさせないようにします。
- 常に残業の内容をチェックし、残業や長時間労働の実態を把握することにより、業務改善にもつながります。
- 申請を却下されても、そのまま働くとサービス残業になってしまいますので、単に却下するだけでなく、実際に労働させないようにする必要があります。
- 管理職には残業の可否を判断する能力、労働時間をコントロールする調整力が求められます。
さらにもう一工夫
- タイムカードの打刻場所を上司の近くに設置。業務開始直前と業務終了直後に打刻するように、直属上司が管理します。
- 業務効率を人事評価項目に入れる(粗利益・労働時間)など、業務効率を人事評価の項目に入れ、⽣産性の向上を図ります。残業増加が粗利益向上につながらないと業務効率が落ちますので、非効率な残業削減に有効です。
- 職場の最終退出者を制限(鍵を持つ人を管理職などに制限)
- ジョブローテーションで業務効率を上げるジョブローテーションにより、一定の期間を決めて部署内あるいは各部署で現在と異なった業務を行わせます。マンネリの防止や問題点の洗い出しに役立ちます。また、様々な業務遂行能力が身に付き、部署全体での業務効率向上が見込まれます。
- 光熱費等の節約運動の実施 残業削減による光熱費等の削減が実施できた場合、インセンティブで社員に還元!